【秋の味覚】いちじく(無花果)について 歴史や品種について

2022-10-27

【秋の味覚】いちじく(無花果)について 歴史や品種について

いちじくの概要

いちじくは、クワ科イチジク属に属する南西アジア(アラビア半島の南部)原産の亜熱帯性の落葉樹です。
私たちが食べている部分は、実に当たる部分ではなく花…花序(かじょ)と呼ばれる部分です。
実際には花が咲いているわけですが、花が覆われ見えなくなってしまっていることから、「無花果」と呼ばれるようになりました。

いちじくの歴史と日本の主な産地

いちじくの原産地はアラビア半島の南部で、今から6000年以上も前からあったとされています。
旧約聖書にはアダムとイブが体を隠すための腰ミノとして、いちじくの葉を使ったと記されています。
諸説ありますが、アダムとイブが食べた禁断の果実というのは、リンゴではなくいちじくだったという説もあります。
日本には江戸時代初期にポルトガルから長崎に伝来したと言われています。(諸説あって中国から伝わったとか、天草にきたとかいろいろあります^^;)

日本の主な産地

日本の主な産地は、愛知県、大阪府、兵庫県、和歌山県、福岡県など西日本が中心です。(農林水産省:特産果樹生産動態等調査 2019年度より
以前、催事や物産展などに出店していた時の体感からすると、東日本よりも西日本…とくに関西圏で販売する際の方がいちじくジャムが売れた記憶があります。お客様からも、「むかし家にいちじくの木があった」なんて話を聞くこともあったので、関西や西日本では身近な果物なのかもしれませんね。

愛媛県といちじく

愛媛県では、松山市や今治市、新居浜市、四国中央市などで栽培が盛んです。
いちじくの営利栽培を目的とした品種は、桝井ドーフィンと蓬莱柿(ほうらいし)が約90%のシェアを持っていると言われています。しかし今治市では、フランス原産の黒イチジク「ビオレソリエス」という品種も栽培されているところもあるようです。(今治で仏原産のいちじく収穫|NHK 愛媛のニュース
愛媛県はみかんをはじめとした柑橘類で有名ですが、市街地を外れるといちじくやキウイなど、果物をよく見かけるなと思います。

いちじくの主な品種

桝井ドーフィン

桝井ドーフィンは、日本のいちじく市場のおよそ8割を占める圧倒的なシェアを誇る品種です。
明治41年に、広島県出身の桝井光次郎氏がアメリカから持ち帰えり日本で栽培されるようになりました。
正式な品種名は「ドーフィン」です。しかし桝井光次朗氏に敬意をはらい、「桝井ドーフィン」と呼ばれるようになりました。
実が大きく豊産なのが特徴です。また、果皮がしっかりしており輸送性に優れることから全国で作られるようになり、いちじく市場で大きくシェアを伸ばすことになります。
耐寒性が温暖な地域での栽培に向いている品種です。
味は甘み酸味とも少なくあっさりしているものが多いです。ただ、いちじくはブルーベリーと同様に追熟しない果物です。木に実をならせたまま完熟させると甘みが増しますが、果皮が柔らかくなり輸送性が劣るため、はやい段階から収穫されるケースが多く、結果として味があっさりとしたものが多くなります。

蓬莱柿(ほうらいし)

蓬莱柿(ほうらいし)は江戸時代初期に日本に持ち込まれたと言われています。桝井ドーフィンと区別するために、日本いちじくと呼ばれたりすることもあるそうです。
桝井ドーフィンが伝わるまでは日本のいちじくの主力品種でした。
桝井ドーフィンと比べて実が小さく実が柔らかいため輸送性に劣るため、地元で消費されることが多い品種です。ただ、完熟果はとても甘いのが特徴で桝井ドーフィンにはない独特の風味があります。
日本に古くからあるため、昔から家にいちじくがあったなんて方は蓬莱氏が多いのではないでしょうか。

高山ガーデンのいちじくジャムに使用しているのは、この蓬莱柿(ほうらいし)です。
松山市や砥部町の農家さんから毎年旬のいちじくを仕入れています。

いちじくの栄養成分

エネルギー水分たんぱく質脂質炭水化物灰分
54kcal84.6g0.6g0.1g14.3g(食物繊維1.9g)0.4g
ナトリウムカリウムカルシウムマグネシウムリン
2mg170mg26mg14mg16mg0.3mg
亜鉛マンガンビタミンA
βカロテン
ビタミンE
αトコフェロール
ビタミンE
γトコフェロール
0.2mg0.06mg0.08mg15μg0.4mg0.1mg
ビタミンB1ビタミンB2ナイアシンビタミンB6葉酸パントテン酸
0.03mg0.03mg0.2mg0.07mg22μg0.23mg
ビオチンビタミンC
0.4μg2mg

参考資料:日本食品標準成分表2015年版(七訂)第2章 日本食品標準成分表 PDF(日本語版)

いちじくはカリウムを多く含み、カルシウムや鉄など無機質など豊富な栄養素を含んでいます。
また食物繊維も多く含んでおり、美容によい果物でもあります。が、あまり食べすぎるとお腹が緩くなったりします。
いちじくにはフィシンというたんぱく質分解酵素があり、これが消化吸収のサポートをしてくれます。しかし、ごくまれにフィシンに対してアレルギーがある方もいるので、いちじくを食べてかゆみや違和感を感じた場合は控えたほうがいいかもしれません。

高山ガーデンのいちじくジャム

  • 愛媛県産完熟いちじく使用 完熟いちじくジャム(140g)
    愛媛県産完熟いちじく使用 完熟いちじくジャム(140g)
    648円(税込)
  • 愛媛県産完熟いちじく使用 完熟いちじくジャム(280g)
    愛媛県産完熟いちじく使用 完熟いちじくジャム(280g)
    1,188円(税込)

高山ガーデンのいちじくジャムは旬の時期に収穫・仕入したいちじくをたっぷり使用。
いちじく本来の甘さ・美味しさを楽しめるように甘さは控えめです。
お砂糖を使わず、お腹にやさしいオリゴ糖とはちみつで仕上げています。
ペクチン(ゲル化剤)や保存料等の食品添加物は一切使用していません。
いちじくのおいしさやプチプチとした種の食感をお楽しみください。

参考資料

農林水産省:特産果樹生産動態等調査 2019年度より

編著者:株本輝久、「◆新特産シリーズ◆イチジク ー栽培から加工・売り方までー」、社団法人農山漁村文化協会、出版1996年