【研究・論文】ブルーベリーの裂果について -どうして実が割れてしまうのか-

秋雨前線の停滞で日本各地で雨が長引いていますね。
ブルーベリーの生産者の方や家庭菜園で楽しまれているかには、あるある?かもしれませんが、ブルーベリーって長雨や大雨になると実が割れてえらいことになります。
品種によって割れやすかったりそうでなかったりと、いろいろあるのですが梅雨の時期と収穫時期が被り長雨が続くとそのあたりの品種は全滅します(´;ω;`)
台風が来ると風で落ちたりもしますが、雨が多いケースだと一気に実が割れます…。
高山ガーデンでもどうにか防げないか…と対策は施していますがやはり自然の力にはなかなか勝てません。

そもそもなんで実が割れるのだろう?ということで調べることにしてみました。
すると、この疑問に対するぴったりの研究がありました。

ティフブルー 裂果
ティフブルー裂果

さて研究からはいったいどんなことが分かったのか、ということですが論文の適用を引用しておきます。

適熟果において,果実重,裂果率,吸水 24 時間後の吸水量および吸水速度の間にそれぞれ有意な正の相関が認められた.また,裂果率と吸水率の間にも有意な正の相関が認められたが,果実重と吸水率の間には相関関係が認められなかった.果実重が大きいことは吸水速度および最終的な果実への水の浸透量を増加させ,裂果感受性を高めたかもしれない.未熟な果実において裂果はほとんど発生しないのに対し,適熟果では裂果が発生し,その程度は採取時期・果実の部位により異なった.果実の吸水について,小果梗付着部と比較すると果皮からの吸水量はわずかであることから,裂果に関与する果実への吸水経路は小果梗付着部と考えられた.

吸水によるブルーベリー果実の裂果発生要因の解析と吸水経路の特定 https://www.jstage.jst.go.jp/article/hrj/14/3/14_231/_pdf/-char/ja

このことからもわかるように、やはり雨…水と実が割れることには関係があります。

水をよく吸うと実が割れる

裂果率と吸水率の間にも相関が認められたことから、水を吸ったら実が割れる可能性が増えるというのは確かなようです。また、小さいな実よりも大きい実のほうが吸水速度の点から割れやすいこともわかっています。
経験的にわかっていたことが、こうして実験を通してデータとしてみると「なるほど、たしかにな」と思います。

果実は成熟が進むほど裂果しやすいが、採取時期はあまり関係がない

ブルーベリーには成熟過程があり、緑から赤色、青色、濃い青色へと変化していきます。(ブルーベリーの成熟過程についてはこちらに書いています。
まだ未熟な果実はカチカチなのでなかなか割れにくいよね、とは思いますがやはり青くなって食べごろになると割れやすくなります。経験的にもほんとに今が食べ時…ってものが本当に割れやすいです。

実は果皮と果柄痕から給水する

実が割れるのでどこから給水しているのだろう?というところは疑問です。
引用からもあるように、果梗付着部からの給水が一番多い。
雨からの実を守っても、根から水を吸水し、その水が枝や幹を通して実へ来るため結果的には実が割れることを防ぐことはできないのではないかと思います。
一時期、雨がかからないようにシートをかけていたことがありましたが、あれ意味なかったんじゃ…。
雨が実にかからなくても地面から吸い上げたら関係ないですしね…。

まとめ

以上のことから、
実が大きくて熟れている果実…つまり大きくて食べごろの実がおいしいということです。
実が割れることへの対策?としては

  • 雨が降ることが事前にわかる場合は、成熟している果実はなるべく収穫する

成熟した果実ほど裂果しやすいため、雨が降ることがあらかじめ予測できる場合は収穫する。

  • 特に大きい果実ほど収穫する

大きい果実ほど裂果しやすいので、大きい果実から優先的に収穫する。
と、いうことが言えると思います。
雨の日の前にはこの点に注目して収穫してみてください。
詳しい実験の内容やデータは、今回参考にさせていただいた論文をご覧ください。

参考文献・論文:吸水によるブルーベリー果実の裂果発生要因の解析と吸水経路の特定